令和6年度 小学生の音楽

教科書の全体像を捉えるうえで要となる「題材構成」について座談会を行い、 3人の先生方にお話ししていただきました。なぜ「題材構成」を用いて教科書がつくられているのか、あらためてそのよさや大切さに気付き、より深く理解するために、さまざまな視点から「題材構成」をひもといていきます。

A先生 小学校主任教諭
B先生 元大学准教授
C先生 小学校教諭
音楽に関する汎用的な力を育てる題材構成

A:(教育芸術社の)教科書がどのような構成になっているのか、その大きな特徴である「題材」について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

B:「1曲ずつ指導する」という考え方とは別の「学習指導の内容を構成するまとまり=主題」を指す「題材」ですね。

A:音楽科以外の教科では「単元」という考え方があって、それぞれの学習が順序立てて進められていきますが、音楽科の学習では歌唱、器楽、音楽づくり、鑑賞の内容がそれぞれ関連し合っていますね。

B:歌唱の授業で、例えば「旋律」に着目した場合、次に学習する器楽や鑑賞、音楽づくりの教材ではどのように「旋律」が関わっているかという視点でも学習できるので、1つの知識を得たことにより、他にも応用できる汎用的な力を身に付けることができます。このような主題による題材構成は、音楽科の学習にとって非常に重要だと思います。

C:「1曲ずつ指導する」と聞くと、私は新任の頃にひたすら教材、教材、教材と1曲ずつ教えていたことを思い出します。でもそれは、栄養の偏りに配慮せず、子どもが好きな献立を毎日考えるような感じがして、「教材を教える」のに行き詰まることも多く、「よく分からないけれど何かが足りない」という空虚感をいつも抱えていました。そこから抜け出せたのは、題材構成というものをしっかり捉え直したことが大きいです。いろいろな学習内容が関連し合って、充実した学びが生まれるのだと実感しました。

「子どもたちに何を身に付けて欲しいか」を考えたとき、音楽に関する汎用的な力を育てると学習効果につながって、題材構成を指導に生かす意義が見えてくると思います。
教材単位ではなく題材全体の中で評価を考える

A:題材構成の例として、4年生の教科書に「旋律の重なりを感じ取ろう」があります。このテーマをもとに歌唱、鑑賞、器楽、さらにまた歌唱の順で教材が配置されています。さまざまな学習活動を通して、「旋律」や「音の重なり」について学び、学んだことを生かしていけるような構成になっている。この題材の最後の教材「もみじ」では、子どもたちが主体的、対話的に学習を進める活動例が示されていますね。

B:さまざまな学習内容が関連し合っているのは、評価にとっても利点がありますね。1つの教材で全てを評価するのではなくて、この教材では「知識」、他の教材では「技能」といったように、何が身に付いたかという評価を題材全体の中で考えることができる。

C:そうですね。例えば、歌うことが得意な子どもを歌唱の「技能」だけで評価しないということですよね。

A:そうすると、教科書の目次を見て「1つの題材の中にある全ての教材を教えなくてはいけない」と思われている先生がいらっしゃるかもしれません。

B:1つの題材の中から幾つか教材を選択することがあってもいいと思います。中学年は確かに学ぶことが多くあって、内容は厚くなっていますが、いちばん伸びる時期だからだと思います。このようなことからも、題材全体の中で評価を考えていくことの大切さが分かるのではないでしょうか。

A:そうですね。

C:まさに「題材構成」の強みですよね。

B:逆に、低学年では、教材が多く掲載されているのに「時間が余ってしまう」という話も聞いたことがあります。

C:低学年では、教材といっても18秒ぐらいで終わってしまうものもあり、これを45分学習するのも…といった難しさは確かにあると思います。だからこそ「題材構成」だと学習の幅を広げることができて、いいんですよね。

B:それに低学年では、1つの教材を使ってリズム遊びや旋律遊びなどのいろいろな音楽活動を行えるので、もっと浸透していくといいと思っています。


教材どうしを関連させながら、学びのつながりや積み重ねが得られる題材構成

C:一方、「音楽づくり」を単体の教材と捉える傾向がみられるのではないでしょうか。また、まとめの段階になると上手に演奏しようとして、音楽づくりなのにまるで器楽の授業のようだなと感じることもあります。

A:でも、「音楽づくり」は題材とのつながりがいちばんあると思います。例えば、6年生の教科書にある「いろいろな和音の響きを感じ取ろう」の中にある「和音の音で旋律づくり」を学習する場合、3・4年の「旋律の特徴を感じ取ろう」での学習が生かされるし、5年の「音階の音で旋律づくり」や和音を扱う学習経験もあります。さらに、この学習は中学校の旋律の創作にもつながっていくので、学びのつながりや積み重ねができる題材構成は重要だと思います。

B:学年を超えて「学びがつながっていく」という題材と題材との関連も重要ですね。これまでの学年で何を学んだのかを分かっているのはとても大事なことですし、前の学年のことを振り返るのが難しければ、教科書の中の「おもいだそう」や「歌声」、「ふり返りのページ」といった特集的な扱いを意識して活用するのも効果があると思います。

C:私は低学年を教えていますが、題材を意識した授業をするようになってから、子どもたちが学習した言葉をきちんと使っていることを感じます。2年生だと「フレーズ」など、音楽の内容を理解したうえでイメージを膨らませて発言しており、こうした学習は学年が上がるにつれとても生きてくると思います。さらに言うと、これまで学習した内容が次につながる題材構成は、さまざまな子どもたちがいる中での授業に必要不可欠だなと感じます。

B:そうですね。例えば、歌うことに苦手意識をもっている子どもでも、歌唱の学習で気付いたことを次の得意な器楽の学習に生かすことができるし、鑑賞や音楽づくりの学習から身に付けた内容を通して、これまで苦手だと思っていたことに興味・関心をもつ可能性もあります。子どもの個性を尊重した個別最適な学びのあり方も大事ですね。

まとめ〜座談会を振り返って

A:今回のお話で、「題材構成」のよさは、学びの関連性、学びの積み重ね、学びのつながりを高めていく効果にあるとあらためて感じました。

B:「つながり」は系統性ともいえますよね。教科書は6年間のつながりで構成されていて、題材は学年を重ねるごとに、それまでの学習をもとにして総合的な題材になるようにつくられています。

C:時には教師の想像を超えて、これまでの学習を生かした内容の発言を子どもたちから聞けるのは、題材構成を用いているからこそといえます。習得したことを関連付けて活用する姿から子どもたちの成長がみえてくるのも、題材構成のよさだと思いました。

各題材の中で歌唱、気学、音楽づくり、鑑賞それぞれが関係し合っていることを意識すると、評価を重点化できますよね。
そうなんです。記録に残そうとすると負担ですが、ある教材の鑑賞では「知識」を、同じ題材の別の教材で「思考力、判断力、表現力等」や「技能」を見取っていくといった評価の重み付けもできるのではないかと思います。

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