インドネシア

ケチャガムラン

ケチャ

ケチャは,インドネシアのバリ島舞踊劇ぶようげきおどりをともなった劇)として知られています。バリ島の音楽は器楽のものが多いのですが,このケチャは,人の声だけによる演奏えんそうで,とてもめずらしいものです。
半分はだかになった大勢おおぜいの男の人たちが丸く輪になってすわり,いくつかのパートごとに「チャッチャッ」と歯切れよく,かけ声でもかけるように,声だけの細かなリズムをきざんでいきます。これがパートごとに少しずつずれてきこえても,いっせいにそろってきこえても,とても印象的なひびきをもたらしてくれます。
表現ひょうげんの仕方はいろいろとあり,合唱や独唱どくしょうのほかに,踊りや語りもあります。くり返されるリズム合唱,声による独特のひびきやリズムの躍動やくどう感が一つになって,せまってくるようです。人の声の生み出す不思議な力やひびき,うねりをわすれることができずに,このケチャを大好きになってしまう人も少なくないということです。
バリ島ではもともと「サンヒャン」とばれる声を使った宗教的しゅうきょうてき儀式ぎしきが行われていました。1930年ころ,その儀式にドイツ人のワルター シュピースが古代インドの「ラーマーヤナ」という話をもとにしながら,踊りなどをり交ぜ,それを観光客向けのショーとしたものが,現在げんざいのケチャなのです。

ガムラン

 ガムラン」はもともと,「打楽器」を意味する言葉でした。しかし近年では,この意味をこえて,「旋律せんりつ演奏えんそうすることができる打楽器を基本きほんとする合奏」という意味にまで広がりつつあります。現在げんざい,「ガムラン」といえば,ふつうインドネシアのこのような「合奏」を意味すると思ってもよいでしょう。

特に,ジャワ島の一部とバリ島において,この合奏が見られます。主に西部ジャワでは「声楽」を中心にしたガムランが,中部ジャワでは「声楽と器楽」とがみごとにりまぜられたガムランがさかんです。

一方バリ島では,「器楽」中心のガムランが行われています。

ガムランに使われる楽器としては,旋律を演奏する打楽器のほかに,太鼓たいこゴング弦楽器げんがっきもあります。これらによって表現される音の世界はいろどりもたいへんゆたかなものです。

【参考曲】

・「パンプゴ〜プラブ マタラム」

この「パンプゴ」とは,「序曲じょきょく」を意味しています。また曲名である「プラブ
マタラム」は,「マタラムの王様」という意味です。中部ジャワガムラン演奏形態えんそうけいたいに当たるこの合奏は,旋律せんりつを演奏する打楽器と太鼓たいこの音が印象的です。楽器の音に,とちゅうから声楽が加わることで,ほかにはない独自どくじな世界をつくり出しています。中部ジャワガムランの多くは,神秘的しんぴてきな感じを受けますが,本曲はまさに,精神的せいしんてきな世界のおく深さを感じさせるような,ゆたかな音楽表現ひょうげんになっています。

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