宮崎県: | かりぼし切り歌| 高千穂の夜神楽|
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かりぼし切り歌 |
九州,宮崎県の北部,熊本県に近い山間部に高千穂町という地域があります。ここは,たくさんの山々に囲まれ,夏はすずしいけれど冬は寒さが厳しく雪が降り積もったり氷が厚くはったりするところでもあります。 この地域で昔から歌いつがれているのが「かりぼし切り歌」です。 ここで暮らす人々は秋になると厳しい冬に備えて,さまざまな冬じたくを始めます。家で飼っている牛や馬などの食料(まぐさ)の準備もその一つで,この地域の山の斜面や谷間にたくさん生えている「かや」や「すすき」などを集め始めるのです。人々はそれらを大きな鎌でどんどん刈り取っていきます。そしてそれを天日に干してよくかわかしました。このように干し草を「かり」とって「ほす」ときに歌われるのが「かりぼし切り歌(刈干切唄)」なのです。 また,この歌は同時に家族の人々に「自分はここで仕事しているよ」と自分のいる場所を知らせる意味もあったといわれています。山々が深く,人間の背の高さ以上の草が生いしげっている所では作業の姿が見えず,作業を無事に行っているか分からないので,家族の人々は歌の声をきいてその声色,大きさや歌い方などで作業をしている人の無事や健康状態を確認してもいたのです。 そのためか,この歌は「ヤッホー」のように「オーーー」や「アーーー」など言葉の最後が長くのばされるばかりでなく,長くのばす部分が装飾されたり抑揚を付けて歌われたりします。その歌い方は人によって異なっており,遠くまで朗々とひびくと同時に,だれが歌っているか遠くからきいても分かるような特徴があります。 そして,この歌がたいへんよく歌われていた様子が,次のようなお話からうかがい知ることができます。 「山では夜明けとともに歌声が上がり,あちらの谷,こちらの谷と一日中, 絶えることがなかった。」 【参考曲】 ひえつき節 木挽歌 しゃんしゃん馬道中唄 |
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高千穂の夜神楽 |
「高千穂の夜神楽」は,宮崎県北部に位置する高千穂地方に伝わる伝統的な神楽です。 収穫に対する感謝と,翌年の豊作を願い,毎年11月末から翌年の2月初めにかけて行われます。多くの場合,各地区ごとに民家が神楽宿に決められ,そこで夜神楽が奉納されます。 「高千穂の夜神楽」には33の番付があり,地域によってその順番や舞い方などに多少の違いはあるものの,面をつけずに舞われる舞や神様の面をつけた舞が夜を通して続けられます。地域の生活に密着して行われる「高千穂の夜神楽」は,国の重要無形民俗文化財にも指定されています。 また一方で,神楽が行われる時期以外でもこの夜神楽を体験することができるようにと,高千穂神社の神楽殿などでは,観光客向けにまとめた神楽が奉納されています。 |
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