秋田県あきたけん | 秋田あきたおばこおやま囃子ばやし西(にし)馬音()(ない)盆踊(ぼんおど)花輪はなわばやし

 


秋田あきたおばこ
 秋田おばこは,おとなりの山形県やまがたけんから伝わった庄内しょうないおばこが元のうたになっているようです。その唄が,雄物川おものがわ支流しりゅうとなる玉川沿いの地域で玉川おばこ,田沢おばこ,生保内おぼないおばことして歌いつがれ,また玉川の支流となる桧木川ひのきがわ沿いでは桧木内ひのきないおばこ,西明寺さいみょうじおばことして歌いつがれていました。それがやがて平野部にも伝わり,仙北せんぼくおばことして唄われていました。
 秋田出身の唄い手である佐藤貞子さとう さだこさんが,この仙北おばこを一部改作して全国に唄い広めたのが,今の秋田おばこの原型のようです。もともとが踊りを見せるために唄われる唄だったので,佐藤貞子さんに改作され,いわゆる「貞子節」になってからも,唄い手のいきおいの良さをそのままに,速いテンポではずんだ唄い方をしていたようです。唄い方としてはむずかしい唄に入り,特に中間部の節回しふしまわしを唄うには相当な熟練じゅくれんが必要とされるそうです。
 佐藤貞子さんの歌手としての生活は,大正時代の終わりから昭和20年代までで,最もさかんなときには,一座いちざ40名を引き連れて,秋田おばこや秋田音頭などを披露ひろうし,日本全国を公演こうえんしてまわったようです。秋田おばこは,佐藤貞子さんのこの活躍かつやくで,民謡王国みんようおうこくばれる秋田県を代表する民謡として愛好されるようになりました。

歌詞の一部を紹介しょうかいします。

1 おばアーこナー   (ハイハイ)
なんぼになる   (ハイハイ)
この年 らせば 十と七つ
ハーオイサカサッサー
オバコダ オバコダ (囃子はやし以下同じ)

2 十七ナー おばこなら
何しに花コなどかねどナー

3 咲けばナー 実もやなる
咲かねば日陰ひかげの色もみじ

4 おばこナー どこさ行く
うしろの小山コさ ほんなコ折りに

5 ほなコナー わかいとて
こだしコ まくらコに さわなりに
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おやま囃子ばやし
 仙北市せんぼくし角館町かくのだてまちでは地域ちいき繁栄はんえいや人々の健康けんこうなどをねがって,神明社しんめいしゃ成就院じょうじゅいん薬師堂やくしどうのお祭りが9月にいっしょに行われます。このお祭りで,武者むしゃ人形や歌舞伎かぶき人形をのせた「ヤマ」とよばれる山車だしを運行するときに演奏えんそうされるのが「おやま囃子ばやし」です。
 楽器は笛,大太鼓おおだいこ小太鼓こだいこつづみかね三味線しゃみせんが用いられ,演奏者は山車の下の部分に乗っています。お囃子の曲には種類しゅるいがあり,神明社や薬師堂に向かうときは「のぼり山」,もどるときは「くだり山」,山車の方向を変える間は「さがふじ」,山車どうしをぶつけるときは「神楽囃子かぐらばやし(ぶっつけ囃子)」など,さまざまな山車の状態じょうたいを表しています。
 他にもおどりをともなった奉納ほうのうのための曲や余興よきょうのための曲があり,お囃子は,山車の運行中とぎれることなく演奏されます。
 国の重要無形民俗文化財じゅうようむけいみんぞくぶんかざいに指定されている「角館祭りのやま行事」は,「山・ほこ・屋台行事」の一つとして,平成へいせい28年(2016年)にユネスコ無形文化遺産むけいぶんかいさん代表一覧表だいひょういちらんひょう記載きさいされました。
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西(にし)馬音()(ない)盆踊(ぼんおど)り または 西馬音内の盆踊
 西馬音内盆踊りは,秋田県()(がち)(ぐん)羽後(うご)(まち)で,毎年8月16日から18日にかけて行われます。700年以上も前に豊作(ほうさく)をいのっておどったのが始まりという言い伝えもあり,長い(れき)()があります。

おどりには「(おん)()」と「がんけ」の2種類(しゅるい)があり,(ゆう)()で美しいおどりです。「音頭」は,「がんけ」に比べて,ふり付けが(おぼ)えやすく,子どもが習うときに最初(さいしょ)に覚えるおどりです。
「がんけ」は「音頭」に(くら)べておどりの動きが速くなり,少し(むずか)しいふり付けになっています。

囃子(はやし)には,「()(だい)()」,「音頭」,「とり音頭」,「がんけ」の4種類があり,笛,(しゃ)()(せん)(おお)(だい)()()(だい)()(つづみ)(かね)などの楽器で演奏(えんそう)されます。これに歌い手が(くわ)わり,歌い手が鼓や鉦も演奏することがあります。

西馬音内盆踊りでは,おどり手が着る()(しょう)にも(とく)(しょく)があります。
おどり手は「端縫(はぬ)い衣装」か「(あい)()浴衣(ゆかた)」のどちらかを着ます。「端縫い」は,4~5種類ほどの布を左右(たい)(しょう)に組み合わせてぬわれた着物で,主に女性(じょせい)が着ます。大切に()(かん)してきた布を使い,()(がら)や色にこだわって作られています。もう一つの「藍染め」は,伝統的(でんとうてき)()めの()(ほう)で作られていて,男女とも着ることができます。いちばん身近な衣装ともいえます。
また,頭には半月のような形の「編笠(あみがさ)」をかぶるか,目の部分に(あな)が開けられた黒い頭巾(ずきん)のような「彦三頭巾(ひこさずきん)」をかぶっておどるため,(まわ)りからは,おどり手の顔をほとんど見ることはできません。

西馬音内盆踊りは,昭和56年に,盆踊りとしては全国初となる国の(じゅう)(よう)()(けい)民俗(みんぞく)(ぶん)()(ざい)に指定されており,現在では徳島県の「阿波(あわ)おどり」,岐阜(ぎふ)(けん)の「()(じょう)おどり」とともに,日本三大盆踊りといわれることもあります。
また,令和4年には,「()(りゅう)(おどり)」の一つ,「西馬音内の盆踊」としてユネスコ()(けい)(ぶん)()()(さん)(だい)(ひょう)一覧(いちらん)(ひょう)()(さい)されました。
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花輪はなわばやし
 花輪ばやしは,きゅう花輪町(現在げんざいの秋田県鹿角市かづのし)の鎮守ちんじゅである幸稲荷神社さきわいいなりじんじゃの祭りで奉納ほうのうされるお囃子はやしです。太鼓たいこや笛,かね,三味線で構成こうせいされたお囃子は,独特どくとくなリズムやメロディーで演奏えんそうされます。
 花輪ばやしの演奏者たちは,屋台(山車だし)に乗ってお囃子を演奏します。この屋台はみごとな彫刻ちょうこくやちょうちんなどでかざり付けされていて,さらに金ぱくやうるしでも仕上げられているため,それらがり成す世界はとても豪華ごうかなものです。
 「花輪ばやし」の名前は,秋田県だけでなく海外でも知られており,フランスのニースやアメリカのサンフランシスコ,中国の上海しゃんはいなどで公演されたこともあります。また,秋田県の無形民俗文化財むけいみんぞくぶんかざいの指定を受けています。
 幸稲荷神社の祭りは,毎年8月19日,20日の両日に開かれ,観光客もたくさんおとずれています。
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