太平洋のポリネシアに位置する島々(ハワイ,マーケサズ,サモア,タヒチ,トンガ,ニュージーランドなど)の音楽を
ポリネシア音楽と
呼びます。この中でも
ハワイの音楽は,19世紀末ころから大きな
発展をとげました。タヒチやサモアの音楽の
要素が取り入れられたり,アメリカの音楽などからも大きなえいきょうを受けたりしました。今では「
ハワイアン」と呼ばれ,
現代風のポピュラー音楽とされています。
19世紀にアメリカ人が移住してくる以前は,ハワイには伝統的な固有の音楽がありました。しかし,このような音楽は,キリスト教を広めるために来た宣教師の人たちの目には下品なものとして映り,禁止されてしまいました。それからおよそ50年がたち,カラカウア王の時代に,宣教師たちの目の届かない地域に残っていたこれらの伝統音楽が発見され,再び人々の耳に届くようになりました。
現在「ハワイアン」と呼ばれる音楽は,これらの伝統音楽とは別に発展したと考えられていますが,発声法や楽器の使い方などに,伝統音楽と似ている点を多く見つけることができます。一方で,ギター,ベース,ドラムといったアメリカ風の楽器を中心に演奏したり発声を変えたりもしていて,伝統音楽とは大きくちがってきている音楽もあります。
どちらにしても,その多くは母音の多いハワイ語をもとにしており,使われている旋律やリズムも,どちらかというと単純なため,現在では多くの人々にとって親しみやすい音楽となっています。
【参考曲】
・「アロハ オエ」
この曲は,世界で最も有名なハワイアンといってよいでしょう。日本でも,たいへんよく知られていて,ハワイ王朝最後の女王リリウオカラニが1878年につくったものといわれています。音楽の才能にめぐまれた女王は,このほかにも100曲をこえる曲をつくっています。「アロハ
オエ」とは「さようなら,あなた」という意味です。ハワイ語と英語によってつくられた歌詞は,「別れ」を歌っています。