鳥取県
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貝がら節 |
鳥取県の日本海の沖合には,帆立貝が周期的に群れをなして発生しました。貝がら節は,その昔,この貝をとる漁師たちが舟歌として歌った仕事歌でした。来る日も来る日もジョレンという貝をとるための道具に網をつけた船で,ろをこぐ作業はとてもつらいものでした。そのつらさを少しでも忘れようと歌われたのが,貝がら節です。 いつのころから歌いつがれてきたものかは定かではありませんが,江戸時代の終わりごろに貝の干した身を輸出した記録があることなどから,そのころにはすでに歌われていたものと考えられます。しかし,いつしか貝もとれなくなり,船も,ろこぎのものから動力の船に替わったことなどから貝がら節も忘れ去られていました。 そして,昭和8年,当時の流行歌のブームにのって,浜村温泉を宣伝するためにレコードが作られることになりました。そのレコードのB面におさめられたのが地元に古くから伝わり,ほそぼそと歌いつがれていた貝がら節でした。 その後,全国民謡大会で1位になったり万国博覧会に選ばれて出場するなど,貝がら節踊りとともに全国的に有名になりました。今では,山陰を代表する海の民謡として全国で歌われるようになりました。 この貝がら節と踊りは,地元に残された貴重な文化遺産として受けつがれて,今でも幼稚園児から小学生,中学生までもが,日ごろから歌い踊り続けています。
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