石川県: |
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尾口のでくまわしは、 人形 *旧尾口村深瀬地区に住んでいた人たちは,ダムの |
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御陣乗太鼓 |
「御陣乗太鼓」は,石川県輪島市で毎年夏に行われる「名舟大祭」のときに演じられる,太鼓打ち芸です。名前にある「御陣乗」は,奥能登地方で神輿の進行を指す「ゴジンジョ(御神事)」からきているといいます。 その始まりは,戦国時代に上杉謙信が能登を攻め落とそうとしたときまでさかのぼります。その地方に住んでいた名舟の村人たちは武器を持っていませんでしたが,知恵をしぼって作戦を立て,みごとに上杉軍を追い払ったといいます。その作戦とは,顔に木の皮で作った鬼や幽霊の面を着け,髪の毛には海藻を付けた姿で,陣太鼓を打ち鳴らしながら襲いかかるというものでした。これには上杉軍もたいへん驚き,逃げ帰ってしまったといいます。村人たちはこの勝ち戦を,名舟沖の島(舳倉島)にある奥津姫神社の神様のおかげと感謝しました。そうして奥津姫神社の大祭では,面を着けて太鼓を鳴らし,神輿の進行で行列の先頭に立つようになったそうです。これが発展し,現在の御陣乗太鼓になりました。 御陣乗太鼓では,「爺面」「デカ面」「夜叉面」「ダルマ面」「男幽霊」「女幽霊」の面をかぶった6人が,「遅いテンポ→やや速いテンポ→速いテンポ」で太鼓を打ち鳴らしていきます。これを1つのサイクルとして,それを何度も繰り返します。演奏者は,怪しい形をした面に合った身振りや動作をするなど,独特の芸を交えながら演奏して,聴く人を楽しませます。 |
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山中節 |
はぁ 忘れしゃんすな 山中道を 東ゃ松山 西ゃ薬師 はぁ 山が高うて 山中見えぬ 山中恋しや 山憎や はぁ 谷にゃ水音 峰には嵐 あいの山中 湯のにおい はぁ 山が赤なる 木の葉が落ちる やがて船頭衆がござるやら 山中節にはまだまだ歌詞があり,平成の今の時代にも新しく歌詞が作られているそうです。ここに紹介した歌詞の中には山中町の様子が見えてきます。自然に囲まれた地形や温泉,山中にだれが訪ねてくるのだろうといったことまで,きちんと歌われています。 山中節は,その昔,船頭として北海道に出稼ぎに行っていた人々が,出稼ぎ先で習い覚えた「松前追分」を歌ったことが始まりといわれています。1年の仕事を終えて,何日も故郷の温泉で過ごす船頭衆が自慢ののどで歌うのを,旅館で働く人や山中町の人がききほれてまねをし,それが山中に合った歌に生まれ変わり,育っていきました。 山中節は,温泉民謡として数百年も大切に歌いつがれています。今日では,毎年9月の第1日曜日に全国コンクールも開かれ,小学生から大人まで,多くの愛好者たちが自慢ののどを競います。 次は,山中節の歌い方のワンポイントレッスンです。みなさんは,一日のつかれた体を湯船に入れて,思わず「はぁ〜」と幸せな声を出している大人と出会ったことはありませんか?そのときの「はぁ〜」が山中節の歌い始めの声なのです。春・夏・秋・冬と季節ごとにすばらしい自然の景色を見せてくれる「鶴仙渓」や,その当時は大聖寺川にかかる一番上流の橋だった「こおろぎ橋」など,自由に想像してみてください。決して力まずに歌いましょう。きっと,のびのあるいい声になり,山中節の雰囲気に乗ることができるでしょう。そして「細棹」といわれる三味線が,単調でゆったりとしたリズムをくり返しながら,歌う人の声の調子に合わせて伴奏をしてくれます。 最後に,山中温泉の歴史についてふれてみましょう。今から1300年くらい前のお話です。北陸を行脚中に,江沼国菅生神社に参拝した僧,行基がむらさき色の雲にかがやく辰巳の方角を訪ね,そこで出会った老僧に教えられ温泉を発見しました。その後再び,行基の夢に現れた老僧は,自分が薬師如来であることを告げ,温泉が霊泉で体にたいへん良いことを告げました。そこで行基は,この土地に国分寺を建てて,自分でほった薬師如来の像を納めました。しかし,兵乱のために温泉は,あれてしまいます。 1185年ごろの文治年間に,能登の地頭,長谷部信連が傷ついた足を温泉につけている一羽の白さぎの姿から温泉を発見し,さらに薬師如来の像を見つけました。そして,そこに国分山医王寺を建ててその像を祭り,湯元に12軒の湯舎を営み始めました。後の時代に,温泉を復興させた偉大な人,長谷部信連をたたえて,湯元の近くに長谷部神社ができました。 1300年もの昔がどんなふうだったか,実際はだれも分かりませんが,こうしたお話が伝えられています。山中温泉も毎日こんこんとわいています。江戸時代前期には,松尾芭蕉が旅の途中,弟子といっしょに山中温泉を訪れ,山中での思いをいくつもの俳句にしました。今までに,この山中温泉に来たどんなにか多くの人が,温泉につかり,山中節を聞いて,歌い,踊り,町の人たちと交流したことでしょう。みなさんも想像をふくらませてみましょう。 |
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