千葉県::歌詞-解釈
大漁節の歌詞と解釈〔かいしゃく〕 |
一つとせ 一番ずつに積み立てて 川口押し込む 大矢声〔おおやごえ〕
この大漁船
【注】
一番ずつ…各船とも一回ずつ 積み立てる…積み込む
押す…櫓をこいで船を押す 大矢声…弓矢の矢を射るときに出るうなり声のようなかけ声 |
【解釈】
各船とも網をはることが,たった1回で鰯がたくさんとれる。その鰯を船に積み込んで,ホーリャ ホーリャとまるで弓矢を射るうなり声と同じようなかけ声をかけて川口港めざし,櫓をこいでいる。そのような船が何隻も何隻も,次から次へと川口港へ入ってくる。 |
二つとせ ふたまの沖から外川まで つづいて より来る大いわし この大漁船
【注】
ふたまの沖…夫婦が鼻〔めおとがはな(めどばな)〕から黒生までの海の総称 より来る…魚が集まってくる |
【解釈】
川口港から外川港の沖までたくさんの魚群がおしよせてきた。その群れは大きな鰯である。銚子半島を鰯が包んでしまうくらい,鰯の群がたくさん押し寄せてきたということである。 |
三つとせ 皆一同にまねをあげ 通わせ船の にぎやかさ この大漁船
【注】
まね…いわしの大漁を知らせるための目印 通わせ船…いわしの運搬船 |
【解釈】
どの船もみないっせいに,それぞれのまねをあげている。そこを通わせ船が港との間を行ったり来たりして鰯を運んでいる。それがとても景気よくにぎやかである。 |
四つとせ 夜昼〔よるひる〕焚〔た〕いても焚き余る 三杯いっちょの 大いわし
この大漁船
【注】
焚く…生鰯を煮る 三杯いっちょ…いろいろな説がある |
【解釈】
夜昼,鰯を煮ても,煮余るほどたくさんの鰯がとれた。その鰯はやっさ篭3杯で1斗の魚油がとれる。それくらい脂肪ののりきった太った鰯であった。(あぐり船は3隻で操業する。その3隻とも満杯になるほどの大漁との説もある) |
五つとせ いつ来て見ても干鰯場〔ほしかば〕は 空き間〔あきま〕も
すき間も更になし この大漁船
【注】
ほしか…生鰯をそのまま海岸の砂地に干して作る肥料のこと
ほしか場…ほしかを作るために生鰯を干す場所 |
【解釈】
いつ来て見ても鰯が大漁なので,ほしか場は空き間もすき間もないほど,たくさんの生鰯が干してある。 |
六つとせ 六つから六つまで 粕割りが 大割り小割りで 手におわれ
この大漁船
【注】
六つから六つまで…朝六時から夜六時まで。ここでは朝から晩まで。
粕割…生鰯を大釜で煮て,それを圧搾機で締めると〆粕ができる。それを今度割って天日に干すのである。これを割ることを粕割という。
大割…圧搾機で締められた固形の〆粕を木槌で粗っぽく割る。
小割…粗っぽく割った〆粕を今度は手で一匹くらいになるように小さくほぐす。 |
【解釈】
朝から晩まで〆粕を大割小割にしているが,あとからあとから来るので手におわれ,休む暇もない。 |
七つとせ 名高き利根川 高瀬舟 粕や油を積み送る この大漁船
【注】
粕や油…〆粕の副産物として鰯油がとれる。〆粕や干鰯は肥料として,鰯油はカンテラや灯油用に使われた。 |
【解釈】
名高い利根川の高瀬舟は,今日も〆粕や干鰯を積み送っている。 |
八つとせ 八手〔はちだ〕の沖合〔おきあい〕 若い衆が 万祝い〔まいわい〕揃えて
宮参り この大漁船
【注】
八手の沖合…八手網船の漁労長
万祝い…船主から沖合・漁夫たちに贈られる大漁祝いの衣装 |
【解釈】
大漁を祝って船頭や若い衆たちが,各船主から贈られた万祝を着て,川口明神,渡海神社や大杉神社などに宮参りに行った。 |
九つとせ この浦〔うら〕守る 川口の明神 ご利益〔りやく〕あらわせる
この大漁船
【注】
この浦…浦とは海岸という意味であるが,ここでは銚子浦のことをさしている。
川口の明神…川口神社 |
【解釈】
この浦,つまり銚子浦の川口明神は,漁船の守護神であり,ご利益あらたかでこの大漁となったのである。 |
十とせ 十を重ねて百となる 千をとびこす万両年 この大漁船
【注】
万両年…大漁で千両も万両も収入のある豊漁の年の意味である。 |
【解釈】
十を重ねて百となる。千をとびこすこのような大漁年となった。 |
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