秩父音頭 |
埼玉県の代表的な民謡である「秩父音頭」は,秩父地域でお盆のころから秋の収穫期にかけて豊作を祝う踊りです。 この音頭の発生の時期についてははっきりしていませんが,大正時代までは,その場の雰囲気で歌詞をつけて歌われる盆踊り唄でした。
昭和の初期に,秩父郡皆野町の金子伊昔紅は,秩父にも人前にほこれるような民謡がほしいと盆踊り唄の作りかえを思い立ちました。そこで,踊りの身ぶり手ぶりの中に,秩父地方の仕事の中心であった養蚕と農耕のしぐさを盛りこんだり,農村歌舞伎の踊りも取り入れたりして,10種類の型からなる新しい振りを編み出しました。 さらに,歌詞も一般の人たちから募集し,自らも作詞しました。歌のうまい吉岡儀作に歌わせては,節回しをまとめ直しました。そして秩父屋台囃子の手法を取りこんで野性的な民謡へと作り上げました。
昭和5年,明治神宮で,郷土芸能として「秩父豊年踊り」の名前で全国デビューし,発表をかねた盆踊りの輪が広がりました。その後,名前を「秩父音頭」と改め,地元には秩父音頭保存会が生まれました。 お囃子は,大太鼓,小太鼓,笛,鉦です。毎年8月14日には秩父音頭まつりが行われ,地元の人たちばかりでなく多くの観光客もおとずれ,盛大に開催されています。
「秩父音頭」の特徴は,出だしのフレーズをくり返し歌うところです。2度目のしめくくりのところで,拍子に合わせて「コラショ」と合いの手が入ります。また,歌がひとくだり終わるたびに,「オラが方じゃこうだヨ…」とか「朝霧けたててよく来たね…」などの楽しい掛け声が入ることです。ふだんの秩父言葉で語りかけになったものが多く,山間の人々の日焼けした人なつっこい笑顔が見えてくるようです。
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埼玉県西部の秩父地方には,歌舞伎や獅子舞などとならんで,多くの神楽が伝えられています。
秩父神社に伝わる神楽は「神代神楽」とも呼ばれ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
かつては75座の演目でできていましたが,現在では「天岩屋戸開き」や「大蛇退治」など35座の演目にまとめられ,主に神社境内にある神楽殿で上演,奉納されています。
使われる楽器は,大太鼓,小太鼓,鞨鼓,笛です。大太鼓と小太鼓は一人で交互に打ち,笛は2~3人で演奏します。
この神楽は,1月2日の初神楽をはじめ,2月3日の節分追儺祭,4月4日の御田植祭,7月19~20日の川瀬祭,「秩父夜祭」として知られる,毎年12月2, 3日に行われる例祭などにおいて神楽殿で公開されています。
「秩父祭の屋台行事と神楽」は,平成28(2016)年に「山・鉾・屋台行事」の一つとして,ユネスコ無形文化遺産の代表一覧表に記載されました。 |
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「秩父屋台囃子」は,毎年12月に埼玉県西部の秩父市で行われる「秩父夜祭」で演奏される祭囃子です。このお囃子は300年以上の歴史があるといわれていて,お祭りでは2基の笠鉾と4基の屋台を導いたり,場を盛り上げる役目をもっています。 その昔,秩父の農民は蚕を飼ってまゆから生糸をとり,それを織って絹織物をつくって暮らしていました。旧暦の11月に行われていた,収穫に感謝をするお祭りでは,絹織物を売ったり買ったりする市が開かれ,江戸から来た商人や農民でとてもにぎわったといいます。そしてこのお祭りがしだいに発展し,豪華になったのが現在の秩父夜祭です。京都の「祇園祭」,飛騨の「高山祭」とともに日本三大曳山祭りの一つに数えられ,笠鉾と屋台は国から重要有形民俗文化財に指定されています。 秩父屋台囃子の楽器には,笛,鉦,小太鼓,大太鼓が使われていて,笠鉾と屋台にはそれぞれ15〜20人の演奏者が乗って演奏します。山車が進む間,お囃子はとぎれることなく演奏されますが,山車の中で演奏をするため,残念ながらその様子を外から見ることはできません。 |
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