トルコ
メヘテルハーネ
メヘテルハーネとは,トルコの軍楽隊のことです。軍楽隊とは,軍隊が行進するときなどに,ラッパや太鼓などで音楽を演奏する人たちのことをいいます。
トルコの軍楽隊がいつごろから始まったものなのかは,よく分かっていませんが,大昔,遊牧民族であったトルコの人々が中央アジアで生活していたころではないかと考えられています。
マルコ ポーロの「東方見聞録」や7〜8世紀ごろの記録に,演奏の様子や楽器名が記されているものがあり,これらが数少ない手がかりです。小国からしだいに力をつけていったオスマン トルコが,1453年(このころ日本は室町時代で,まもなく応仁の乱[1467]が起こり,戦国時代へと入って行きます)にビザンツ帝国を征服してから軍楽隊の演奏もいっそうさかんになったようです。そして,15世紀後半〜16世紀には,このオスマン トルコの勢力はますます広がって,その軍隊は地中海沿岸地域や西アジアの一部,さらにはヨーロッパにまで進んだようです。この軍隊にとらえられた兵士が軍楽隊にも取りこまれたことが,後に軍楽隊が世界的に広まることにつながっているそうです。
軍楽隊に使われる楽器は,ボル(ラッパ),ズルナ(オーボエに似た楽器)といった管楽器,ダブル(両面の太鼓),ジル(シンバル),ナッカーラ(なべの形をした2つの小太鼓をつないだもの),キョス(ティンパニと似たもの),チャガーナ(すずや三日月のかざりが付いたつえ)といった打楽器です。このような楽器が,同じようなリズムを刻み続けることで,独特なふんいきを生み出しています。
歌が入るものと楽器だけのものがありますが,大きな特徴としてハーモニーがありません。一度きいたら忘れられないようなひびきをもっているこの音楽から受けたイメージをもとにして,モーツァルトやベートーベンは,「トルコ行進曲」と呼ばれる曲をつくったといわれています。
【参考曲】
・「ジェッディン デデン」
この曲名は「祖先も祖父も」という意味で,日本ではテレビ番組のBGMやCMで使われたこともあります。