「禁じられた遊び」は，同じ名前のフランス映画（えいが）の主題曲です。この曲は「愛のロマンス」というタイトルでも知られています。  　映画では，戦争のために両親を亡（な）くした幼（おさな）い少女が，ある遊びを通じて少年との交流を深めていきます。それは，身の回りの小さな生き物たちのお墓（はか）をつくるという秘密（ひみつ）の遊びで，二人はその遊びに熱中していきます。しかし最後には，少女は孤児院（こじいん）へと送られてしまい，少年と離れ離れ（はなればなれ）にされてしまいます。この映画には，少女の涙（なみだ）や幼い二人の無邪気（むじゃき）な行為（こうい）を通じて，反戦のメッセージがこめられているのです。
　この映画の音楽を担当（たんとう）したのが，スペインのギタリスト，ナルシソ イエペス（1927〜1997）です。イエペスは４歳（さい）のころからギターを持ち，少年時代にはスペインのバレンシア市の音楽院に入学して，ギターの天才と呼（よ）ばれました。また，今日（こんにち）の10弦（げん）ギターを開発したことでも知られています。そして，イエペスの名を決定的なものにしたのは，映画「禁じられた遊び」の主題曲の演奏（えんそう）でした。この曲は今でも「スペイン民謡（みんよう）」ということになっていますが，かれがスペインの古い民謡に手を加えて，ギター音楽としてつくったものと見られています。美しく哀愁（あいしゅう）を帯びた旋律（せんりつ）は，ギターのみりょくを十分に生かしたものです。今や世界中で最も親しまれているギター作品の一つとなっています。