メッツラー音楽大事典の総合監修者であり、NHKテレビ「名曲探偵アマデウス」の監修・解説でおなじみの野本先生から、事典を使って音楽鑑賞をもっと面白くするコツを教えていただきました!
J.S.バッハの「作品1」

J.S.バッハ(1685〜1750)の「作品1」が何の曲かご存じですか?
バッハに「作品1」なんてあったのでしょうか?
そもそも、バッハにはのちの作曲家のような作品番号がないから、シュミーダーがBWV(「バッハ作品目録」番号)を付けて整理したのではなかったでしょうか?

実は、ライプツィヒのトーマスカントル時代(1723年〜)に作られた、ある曲集が答えなのです。

では、『メッツラー大事典』で検索してみましょう。
パソコンで事典を立ち上げたら、検索ウィンドウにまず「バッハ」と入力。瞬時に14人が見出し語一覧に表示されます。バッハ.ヨハン・ゼバスティアンをクリック。人生編と作品一覧、さらに音楽的特徴についての論考からなっている長大な項目です。

上段ツールバーにある、「ページ内検索」ボタンをクリックし、キーワード「作品1」を入力して検索してみれば——

出てきました。

「1725年、2巻目のより大部の『アンナ・マクダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集』の最初に書き付けられたクラヴィーア・パルティータは、やがて6曲に増え、まず1曲ずつ、のち1731年には全曲まとめて『作品1』として出版される(BWV825-830)」。

トーマスカントルに就任した後に完成されたパルティータ集が「作品1」だったのですね。もちろん、まったく逆に、調べたい曲のほうから検索することもできます。「パルティータ」を入力すれば、「作品1」だったことがわかるのです。


グラウプナーって何者?

ライプツィヒ市の採用試験の時、バッハが第3候補だったことはよく知られています。そのときの第1候補はテーレマン、第2候補は誰だったでしょう?
答えはグラウプナーです。でも、いったい何者?
そこで、本文中の青字部分グラウプナーの文字をクリックすると、「グラウプナー」の項目にリンクしていて、項目ページが開くのです。

          グラウプナー

コラム中の用語をクリックすると、事典を立ち読みできます!

例「シュミーダー」をクリックすると項目の一部が閲覧できます。

  シュミーダー

▼人名項目(約6,200)
事項項目(約4,000)
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音楽に関するさまざまな知識を書籍で調べるのは、たいへんです。ウェブ上での検索では情報が多すぎて、なかなか正確な答えにたどり着けません。
メッツラー音楽大事典は、ドイツの名門出版社メッツラー社がドイツの音楽的英知を結集して編集したデジタル音楽事典。その日本語版なら書籍とインターネットの「いいところ取り」で調べられるのです。

 

独メッツラー社は、文学、言語学、哲学、音楽、メディア、文化論、事典などを専門とする人文系の出版社。創立はJ.S.バッハが生まれる3年前の1682年。実に325年以上続く老舗の出版社としてその信頼性には定評があります。

音楽事典としては、MGG(全29巻)をベーレンライター社と共同出版しています。そのメッツラーが、より一般向けにコンパクトな音楽事典として「Das neue Lexikon der Musik」を編集しました。これが「メッツラー音楽大事典の原書となっています。



トーマスカントル時代のカンタータ

J.S.バッハの項目に戻り、先ほどの少し後を読んでみると、トーマスカントルという職が「ライプツィヒ市音楽監督」だったことが分かります。読み進めるとバッハ当時の聖歌隊の人数やら、楽器奏者の編成まで書いてあります。

合唱と独唱の歌い手を、カントルは50ないし60名の寄宿生の中から選んだ。彼らには、給費生待遇を受ける代わりに音楽的奉仕に参加することが義務づけられていた。生徒たちは12名ずつ4つの聖歌隊に別れ、4声合唱では各パートを3名で担った。第1・第2の聖歌隊は2つの主要協会へ、歌唱力の劣る歌い手による第3・第4の聖歌隊は新教会とペテロ教会へ赴いた。オーケストラの中心は、8名の町楽師とプロの弦楽器奏者である。 通常の教会音楽では、少なくとも12名(第1・第2ヴァイオリン各2ないし3名、ヴィオラ2名、チェロ2名、コントラバス1名、オーボエ2名、ファゴット1名、およびオルガン)、これより大きな編成では20名(先の編成にフルート2名、トランペット3名、ティンパニ1名が加わり、さらにヴァイオリンは各パート3名ずつとする)が必要で、かならず臨時の演奏者を確保しなければならなかった。多くの場合大学生、あるいはトーマス学校の生徒が手伝った。

こうしたことを知ると知らないとでは、カンタータを鑑賞する耳もずいぶん変わってきますね。


デジタル音楽事典なので、『メッツラー音楽大事典』にはカラー図版も満載。さらに音源も約6時間(!)も収録されていて、これもページ内のクリック一つで聴けます。知っているつもりだったけれど確かめたい用語あるいはじつは思っていたのと全く違う意味だったりする用語(たとえば「通奏低音」)など、バッハに限らず、音楽鑑賞をするときに欠かせない知識を『メッツラー音楽大事典』で増やしてみませんか?
『メッツラー音楽大事典』では、本文の中にリンクが貼ってあります。まさにネット・サーフィンのように、
次々と芋づる式に「知」が増殖
していくのです。

 

他にも、こんなリンクがあります!

▼年表コラム

▼西洋音楽史年表


例えば、バッハの「作品1」というキーワードから、

  ○作品が作曲された時期
  ○作曲家の当時を知る
  ○他の作品を聴く
  ○同時代の作曲家を知る など

といったアプローチをすることで、作品の背景に広がるさまざまな出来事と関連づけて学ぶことができます。こうした積み重ねが広い音楽の教養へとつながり、音楽の聴き方もそれに合わせて変わってくることでしょう。
デジタル音楽事典で、音楽を「聴く」+「学ぶ」楽しさを味わってみませんか。
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